この度、1年間ドイツに滞在できるワーキングホリデービザから就労ビザに切り替えることにしました。非EU出身者にとってビザはヨーロッパに合法的に滞在するために必要不可欠なもの。今回は、就労ビザを習得するために必要な書類や手続きの準備についてまとめていきます。
就労ビザ取得までの準備
ドイツ・ベルリンで就労ビザを取得することを考え始めたのは、今年の3月頃。ビザは、漫画喫茶の会員登録のようにその場に行って当日から利用できるようなものではなく、準備から申請そして許可を受け取るまで、長い長い道のりが待っているのです・・!
ビザ(滞在許可)を新規に申請する場合も、延長する場合も、前々からの準備が重要。
ちなみにここでは就労ビザと書いていますが、正しくは就労許可と滞在許可を得て、合法的にドイツで働き滞在することができることを指します。
ドイツの労働局が就労許可(ドイツで働いてもいいよ〜という許可)を出した後に、外人局がその人に滞在許可(ドイツで働いてもいいって許可があるなら、ここに住んでもいいよ〜という許可)を出してくれるのです。
私は、就労ビザを取得することを決めて、準備としてまず下記のことを行いました。
1)外人局の予約をする
就労ビザの申請は、外人局にて行います。ドイツのベルリンは移民や移住者が多く、常に混雑状態。予約システムがあるのですが、3ヶ月以上の予約しか取れないことはザラ。
私は3月の時点で、ギリギリ7月の予約を取ることができました。申請書の提出から、許可が降りるまで4〜6週間かかると外人局のウェブサイトに書かれているので、そして実際に2〜3ヶ月待ったという声もよく聞きます。そのため、就労ビザを手に入れたい時期から逆算して、余裕を持って予約しておいた方がいいと思います。
2)専門家に相談する
ビザ関係の情報は、日進月歩。急にビザ発給の条件が変わったりすることもしばしば。
難民や移民の流入が激しいドイツでは、ビザの発給状況は常に変わっています。パキスタン人の友人は、パキスタンで結婚した奥さんをドイツに呼び寄せるのに6ヶ月以上かかっていたので・・。
間違いなくビザを取得したい場合や、最新の情報を知りたい場合は、やはり専門家に聞くのが一番かと。
私は、FacebookグループFree advice Berlinで紹介されていたコンサルタントに問い合わせをしてみました。すると、下記のことがわかりました。
ー パートタイムでも就労許可と滞在許可の延長が出来る(私は、パートタイムで勤務しています)
ー ヨーロッパ出身者が代替出来ない職種であること
ー 1年以上の雇用契約書が必要
ー 平均程度の給料が必要
ー 高等教育機関の学位があれば尚良し
私の場合、その後、コンサルタントから連絡が返ってこなくなったので、結局ビザ習得のお手伝いをお願いするまでにいかなかったのですが、お金を支払えばもっと詳しいアドバイス、そして申請当日の付き添いまで対応してくれると思われます。
3)会社にアピールする
コンサルタントの方のアドバイスで、1年の契約書があれば就労ビザを取得できることがわかったのですが、その時点で私は3ヶ月毎更新の契約で働いていました。
そのため、コンサルタントの方のアドバイスを使って、上司に、「ドイツで就労ビザ申請したいから、1年の契約書ください!」と直談判。
会社は私がワーキングホリデー終了時にドイツを離れると思っていたようで、ドイツに滞在したい旨を伝えたら契約書を延長してくれることになりました。
自分の意思をしっかり伝えなかったら、そのまま契約終了になってたのかも・・。就労ビザが欲しい場合は、会社にしっかりとアピールした方が良いです。
4)ドイツ語の勉強をする
外人局での申請に立ちはだかるのが、「ドイツ語」という壁。私は、恥ずかしながらこの時点でドイツ語をほとんど話せませんでした。最初のワーキングホリデービザ申請時には何とかなったものの、「ドイツで働きたいのに、ドイツ語ができないのは良くないでしょう・・!」と思い、ドイツ語を勉強し始めました。
ドイツ語が話せない人は、ビザ申請時にドイツ語通訳を同行して行くようです。私の場合は、通訳の方にお願いせずに何とかなったのですが、心配な方はお願いした方が良いかもしれません。ドイツに滞在できるかがかかっているので・。。
5)外人局での申請時必要な書類を用意する
外人局での申請時には、結構様々な書類を用意していく必要があります。私は、外人局の予約を取り、会社から契約延長の許可を取った後、すっかり申請書類の準備を忘れており、予約日の1周間前に慌ただしく書類を集めることになりました。
外人局HPによると、就労ビザに必要な書類は下記の通りです。
– Valid passport (パスポート)
– Employment contract (雇用契約書)
– The form “Antrag auf Erlaubnis einer Beschäftigung” (就労許可の申請書)
– The form “Stellenbeschreibung” (filled out by employer) (就労許可の申請書・勤務先に書いてもらう)
– The form “Antrag auf Erteilung eines Aufenthaltstitels” (滞在許可の申請書)
– Rental cost / expenses for property (家賃の証明)
– Certificate of employment (雇用証明・就労ビザ延長の場合のみ)
– Salary slips of the last 3 months (過去3ヶ月分の給料明細・就労ビザ延長の場合のみ)
– Proof of a secure livelihood must also include sufficient health insurance (加入保険の証明)
– Proof of main residence in Berlin (住民登録証)
– Certificate of registration at the main residence or lease and written confirmation of occupancy from the landlord (家・部屋の契約書)
詳しくは外人局HPでご確認ください。
会社が申請を手伝ってくれることになった!
ここまで書いたように、7月1週目に待ち受ける外人局へのアポイントに向けて、色々準備をしてきました。会社の人事担当に勤務先に記入してもらう書類をお願いすると、
「ベルリンでは最近難民や移民の処理で外人局の対応が遅れていることため、ヨーロッパ以外出身労働者のための就労ビザ発行に影響が出ないように特別サービスがある。それを使って申請してあげるわ。」
と言ってくれ、申請を手伝ってくれることになりました!この時点で、自分で外人局に行き申請書類を提出するのではなく、会社の人事部が、労働局と外人局に私のビザ申請をしてもらえることになりました。
手続きを行ってもらうために、会社の人事部に下記の書類を提出しました。
- パスポートのコピー
- 現在の滞在許可証 (ワーキングホリデービザ)
- CV
- 大学の英文卒業証書
また、上司に私を何故雇う必要があるのか、何故ヨーロッパ出身者ではなく私(日本人)を雇う必要があるのかという旨を書いた推薦書もつけてもらいました。ヨーロッパで労働許可を得るには、ヨーロッパの人で代替ができない職種があるか、人手が足りない分野(ITや医療関係)である必要があるそうです。
これらの情報をまとめて人事部が外人局に提出してくれました。あとは、人事部を通して結果が来るということなので、それを待つばかりです。まだ就労許可と滞在許可がおりたわけではないのですが、ひとまず外人局の担当者と戦わずに済んでほっと一息。
就労ビザ取得しました!
人事部を通して、6月の後半に就労ビザ取得の申請をしてから早2ヶ月。会社の人事担当者が一向に外人局から連絡が来ないので進捗を聞くメールをしてくれました。すると、「ちょうど許可が下りたところなので、ビザの更新に来て!」というメールが外人局の担当者から届いたのでした。
最初に外人局から指定された日程は私の予定に合わなかったため、日程を変更してもらい、8月22日月曜日朝8時半にビザ更新のために外人局へ行ってきました。
ビザ更新に必要と言われた書類がこちら
– 家/部屋の契約書(原本)
– 過去6ヶ月分の給料証明
– 証明写真
– パスポート
– 手数料 30ユーロ (電子マネー可)
指定された時間に担当者の個室に行き、上記の必要書類を提出します。給料証明と家の契約書は、データで提出したものと齟齬がないか担当者の確認が入り、証明写真を使って新しい滞在許可証(Aufenthaltstitel)が発行されました。滞在許可証はシール式なので、パスポートに貼られます。(ドイツ・ワーキングホリデービザも同じタイプ)
ドイツ語にビビっていた私ですが、担当者は終始英語で話してくれました。30分ほどで更新手続きは終了。最後に、手数料の支払いを別室で済ませて、全ての手続きが終了しました。これで、ワーキングホリデービザは無効になり(後で見てみると、パスポートに貼られたビザに、バツ印が担当によって付け加えられてました)、就労ビザによって正規にドイツに滞在することができるようになりました〜!
現地でワーキングホリデービザから他のビザに切り替えができない国もあるので、ドイツは今回のように柔軟に対応してもらえてすごくありがたい限りです。
ワーキングホリデー後の選択肢
私はワーキングホリデービザから就労ビザを取得しましたが、ワーキングホリデー後に滞在を延長したい場合、他にも方法があります。
例えば以下のビザが挙げられます。
フリーランスビザ(自営業者ビザ)
フリーランスとして働いている人だけではなく、アーティストとして活動している人もこのビザを申請できるようです。実績とポートフォリオがあれば、申請は比較的通りやすいそう。
申請の手順は、新卒でフリーランサーになったwasabiさんのブログに詳しく紹介されているので、参考にしてみては?
学生ビザ
語学学校、大学、大学院に留学して滞在許可を出してもらうこともできます。ドイツは大学の学費が無料なので、ドイツ語を磨いて現地の大学に通うのもアリかもしれません。
ドイツに限らず、日本人が日本国外に居住する場合には必ずつきまとうビザ(滞在許可)問題。どの国で申請するにしろ、時間と心に余裕を持って準備するのが一番かと。
また進捗についてはアップデートしていきます!
ではでは〜
注)今回ご紹介した内容は2016年6月時点のものです。最新情報はご自身でお調べになり、各個人の責任のもとでご参考にしていただけますようお願いいたします。
お知らせ
海外で仕事を得るまでに私がやったことを書きました。
海外の現地企業で仕事を得る方法【応募から英語面接まで】/note
中川 直明 says
はじめまして!
現在サンフランシスコでVR Gameを開発しているのですが、
ドイツでスタートアップも考えています。
ビザ取得に就て情報交換できればなと思って連絡致しました!
清水温子 says
サイトウ様
突然の投稿失礼いたします。
私は日本で美容師をしておりまして、近いうちにベルリンに移住を考えております。
お忙しいところ恐縮ですがご質問させていただきたく、コメントを残しておあります。
現在、一つの現地サロンに就労ビザのサポートをしてあげると言っていただいてるのですが、週一からの勤務で増えて週4。
大使館ではフルタイムでないと就労ビザは出ないと言われました。
サイトウ様がこちらで、パートタイムで就労ビザを取られたと書いてらっしゃるので、
それが可能なのか教えていただきたいです。
また、フルタイムでの就労の契約書で、後々パートタイムでしか働いていないと、罰則みたいなことになるのでしょうか?
お時間ある時にご返信いただけると、ありがたいです。どうぞよろしくお願いします。
Ayumi Saito says
はじめまして!私の場合は、最初から契約書にパートタイム(週20時間)と記載されており、契約書の規定内で働いていました。私はパートタイムでもビザを出してもらえましたが、周りのドイツ企業で働く友人はフルタイム契約なので、他に例は思い浮かばないです・・。学生準備ビザなら週20時間まで働けるので、そのビザを使ってレストランでアルバイトしていた子はいます。はっきりとしたご回答ができずにすみません。良い方法が見つかりますように・・!
清水温子 says
サイトウ様
丁寧なご返答ありがとうございます!とても参考になりなりました!
またなにかの機会ご質問させてください。ありがとうございました!
チカ says
はじめまして、さいとうさん。
一つ質問があります。
今、まさにワーホリビザからワークビザに切り替えようと考えているところです。就労ビザからのみ過去3ヶ月の明細が必要で、ワーホリからの切り替えではいらないということですか?
チカ says
また、チカです。もう一つ質問があります。
ワーホリビザからの切り替えで過去3ヶ月の明細が必要な場合、その給料明細はミニジョブの明細ではだめなんですか?
よろしくお願いします。
Ayumi says
チカさん、初めまして。ワーホリ中のミニジョブから、ミニジョブ以外の仕事で契約しビザを取得されるということでしょうか?私の場合は、ワーホリ中からすでに同じ会社でミニジョブとしてではなく働いていたのでビザ切り替え時には、それまでの給料明細を持って行きました。
新規の雇用契約で働き始めて給料明細がない場合は、必要ないのではないかと思いますが、私は体験してないので確かではありません。会社の人事の方に手伝ってもらうか外人局に電話して問い合わせしてみるのが良いかと思います。