現地就職で仕事を得るのは、なかなか難しいことです。特に、海外という新しいマーケットで自分を売り込むのは、時間も労力も必要です。
海外で働き始めてから重要性を感じるようになった採用方法があります。それは、「リファラル採用」です。リファラル(Referral)とは、直訳すると「紹介」。リファラル採用とは、人からの紹介を通じて採用する手法のことを指します。
紹介というと、縁故採用を思い浮かべる方も多いかもしれません。人のつながりを利用した採用方法である点では近いものがありますが、縁故採用は人の能力等関係なしに「コネ」で採用するというものですが、リファラル採用では適所に適材を紹介するというベースが基本になっています。
リファラル採用は、勤務者の紹介という入り口から入りますが、その後の採用プロセスは他の応募者と全く同じになります。
それでも、リファラル採用は、人事にとっても、紹介者にとっても、求職者にとっても、「オイシイ」手法なのです。
今回は、リファラル採用のメリットと、活用の仕方をご紹介します。
リファラル採用のメリットとは
リファラル採用のメリットを、「応募者」「紹介者」そして「人事」のカテゴリー別に紹介していきます。
応募者のメリット
人とのつながりを利用し、リファラル(紹介)採用。もっともメリットが大きいのは、やはり応募者です。
1)リファラルは、一般応募より採用率が高い
リファラル採用は、求人サイトやリクルーター利用時よりも採用率が高くなる傾向があります。もちろん、リファラルで応募したからといって100%採用されるとは限りませんが、企業にとって、勤務者の紹介という点から応募者の信頼度が高くなるので、良い結果が生まれやすいようです。
2)生の企業情報を得られる
リファラルしてもられば、応募企業の勤務者(紹介者)から生の情報を得ることができます。労働環境はどうなのか、社風は、どんな人が働いているのか等を勤務者から聞けるので、面接の準備もできますし、応募企業とのミスマッチを防ぐことができます。
私も、つい先日友人の友人を会社のリファラル採用制度で紹介しました。彼女とは、共通の友人を通じて知り合ったのですが、応募(紹介)する前に、一緒に食事をしてざっくらばらんに会社や仕事のことを情報共有しました。また、応募後に彼女の応募ポジションと同じポジションで働いている同僚と話す機会があったので、面接の内容を聞いて彼女に伝えました。
こういったインターネットでは手に入らない情報を得られるのは、リファラル採用だからこそです。
紹介者のメリット
リファラル採用では自分の知人・友人を紹介するにあたり、変な人を紹介するわけにはいかないという責任が伴います。そして同時に紹介者もメリットを享受できるようになっています。
1)ボーナスをもらえる
一番大きいメリットは、ボーナス制度です。このボーナス制度は、企業によってまちまちなようですが、多くの企業にてリファラル採用で人材を採用した際に、紹介者にボーナスが与えられるようになっています。
私の企業の場合、ボーナスは1,000ユーロです。責任を持って紹介するだけに、良い結果に結びつけばこういったボーナスをもらえるチャンスがあるというのは嬉しいものです。
2)友人の手助けができる
また、金銭的なメリットだけではありません。リファラル採用制度を用いれば、自分の周りの仕事探しを助けることができるのです。
私の会社のイタリア人の同僚は、イタリアにいる友人をリファラルしていました。イタリアは今も若者の就職率が悪く、仕事を得るのは困難だそうです。こういった形で、友人の手助けをできるのは良いですよね。
人事(会社)にとってのメリット
リファラル採用は、人事が進んで取り入れようとする動きがあります。もちろん、それはメリットが大きいからです。
1)採用コストを抑えることができる
まず大きなメリットは、採用コストを抑えることができること。リファラルで人材を採用すれば、求人募集の広告のコストやリクルーターへ支払う手数料を抑えることができます。これらは大体紹介者に支払うボーナスよりもコストが高いので、リファラル採用では総じて採用コストを抑えることができるようになるのです。
2)人材定着率が高い
また、リファラル採用で入社した人は、他の手段で採用された人に比べて定着率が高いというデータがあります。これは、リファラル採用では、ミスマッチが起こりにくいからなのだそうです。
人事部にとって、採用した人にはできるだけ長く働いてもらいたいもの。採用した人がすぐに辞めてしまうと、採用コストが見合わなくなってしまいます。人材定着率が良いリファラル採用は、人事にとっても理想的な採用手法なのです。
どうやってリフェラルをゲットする?
リファラル採用は、良いことずくめですね!でも、どうやって海外にてリファラルしれ貰えば良いのでしょうか?まず、リファラル採用に行き着くためには、人とのつながりが鍵となります。
1)ネットワークイベントを活用する
人とのつながりを作るためには、ネットワーク系のイベントが使えます。私も、仕事を探しをしていたときは定期的にミートアップに行って、つながり作りに精を出していました。
ミートアップに行き、もし自分が興味がある会社の人がいれば、そこで友達になってしまえば良いのです。その時点で企業が自分に合ったポジションを募集していなかったとしても、いつ状況が変わるかはわかりません。
また、リファラル採用にあたっては、紹介者との結びつきが強くなくても良いのです。紹介者と親友になる必要はありません。浅く広くつながりを広げておけば、リファラルのチャンスが大きくなります。
2)Linkedinを使う
ネットワークイベント以外に使えるのが、Linkedin.日本ではまだまだ浸透率が低いようですね。海外では、Linkedinを用いた仕事探しはもはや一般的になっています。
Linkedinでは、仕事の経歴がプールされます。自分の興味がある会社のLinkedinページに行くと、自分のコネクションの中でその企業で働いている人や自分の卒業校の卒業生が表示されます。
この機能を活用すれば、自分の知り合いがもしかしたら自分が働きたい会社で働いているのを見つけることができるかもしれませんね。
仕事の観点でいえば、Facebookの友人を増やすより、Linkedinのコネクションを増やす方がよっぽど効果的です!
リファラル採用は、これからもっと増えてくるのではないかと思います。日本でも、メルカリ株式会社をはじめリファラル採用に力を入れる企業が増えてきているようです。海外でも、日本でも、効率よく仕事を得るためには、リファラル採用を活用するのがオススメです。
[参考記事]リファラル採用に関して、下記の記事を参考にさせていただきました。
Why Employee Referral Schemes Aren’t Boring
「リファラル採用=裏切らない」メルカリの急成長を支える人事の活動