働き方研究所、久しぶりのインタビューは中国とベトナムで勤務したブラキオさんです。ブラキオさんは、海外就職を考えるブログ「T.O.E.(Think about Overseas Experience)(2018年8月追記:残念ながらウェブサイトは閉鎖されました)」を運営されています。
検索からブラキオさんのブログを知った私。充実したブログの内容に感動し、運営者のブラキオさん自身海外で働かれていらっしゃったとのことなので、お話を聞かせてもらえないかと連絡をしたところ、快諾していただきました。
中国とベトナムで現地就職されたブラキオさんのお話には、キャリア形成で悩む今後海外で働きたいと思っている人へのヒントが満載ですよ。
それでは、インタビューに行ってみましょう!
語学留学から現地就職へ
私:簡単に自己紹介をお願いいたします。
ブラキオさん(以下ブ): ブラキオと申します。2006年から9年間海外(中国・ベトナム)で働き、現在は日本でフリーランスのグラフィックデザイナーとして活動する傍ら、海外就職を考えるブログ「T.O.E.(Think about Overseas Experience)」を運営しています。
また、「海外就職希望者(及び海外生活者)向けキャリアコンサルティング事業」の年内開始に向け、諸々の準備を進めています。
尚、ハンドルネームの「ブラキオ」は息子が好きな恐竜の名前というだけで特に意味はありません。
私:海外就職者向けのキャリアコンサルティング事業のお話、のちのち聞かせていただきたいです。まずは、9年間海外で働かれていた期間も含めたご経歴を簡単にお伺いしたいです。
ブ:美術大学のデザイン専攻を卒業した後、都内でグラフィックデザイナーとしてデザイン事務所で勤務していました。
2006年から中国・上海で大学付属の語学コースに通った後、日系のメディア会社でグラフィックデザイナーとして勤務。その後制作部のマネージャーを務めました。
その後、北京に移動し、ディレクターとして広告代理店で働いていました。結婚し、息子が誕生したのもこの頃です。
2012年にはベトナム・ホーチミンでディレクターとして日系メディア会社で働き始め、経営企画にも携わることができました。
2015年末に日本に帰国し、フリーのグラフィックデザイナーとして活動しています。
私:中国で6年間、ベトナムで3年間の海外生活をされていたということですね。そもそも海外に行こうと思ったのには何かきっかけがあったのでしょうか?
ブ: 大学生の頃から一度は海外で生活してみたいという思いが漠然とありました。親しい友人の多くが在学中や卒業後に留学したため、「自分もしたい」という思いを持ちながら卒業後は都内のデザイン事務所で働いていました。
その後オーバーワークによる疲労で退職することになったため、これを機にリフレッシュを兼ねて海外に長期滞在をしようと思い、実行に移しました。
なので、当初は語学習得も海外就職も目的としていませんでした。上海で語学留学という形をとったのは、長期滞在ビザが取りやすく、滞在費用があまりかからなかったからです。
上海には特にこだわりはありませんでした。
ただ、大学生のとき講師に連れられて北京と内モンゴルでワークショップや交流を行った経験があり、当時は中国に好印象を抱いていたことは関係していると思います。
私:なるほど。最初は留学で渡航されたのですね。その後現地で働くことにされたんですか?
ブ:はい。学生生活を続けていくうちに当初のイメージより早く貯金がなくなっていったことや、生活に慣れてきたこともあり、せっかくだから働く経験もしておきたいという気持ちが生まれてきたため、気持ちに従い就職先を探しました。
不安が全くなかったわけではないですが、当時自分は20代でかつデザイナーという専門職であったため、うまくいかなくても日本でまた働けばいいやという気持ちや好奇心の方が勝っていました。
私:自分の気持ちに正直に行動に移すというのは素晴らしいですね。仕事探しにおいて専門職は大きな強みではないかと思いますが、どのように仕事を見つけられたのでしょうか?
ブ: 最初の仕事は現地フリーペーパーの求人欄とWebサイト(上海カモメ、自社サイト等)を使って見つけました。
私:現地に行くと、日本からでは見つけられないような仕事情報があったりしますよね。中国とベトナムで働くにあたって現地語や英語が必要でしたか?
基本的に、中国では中国語(普通話)、ベトナムでは英語を求められました。
ただ、自分の場合は業種・職種的に高いレベルは求められませんでしたし、業務上全く必要としない職場もありました(1社目の上海の日系メディア会社)。
私:ベトナムで英語を使って働くことも可能なのですね。現地語が必要とされると思っていたので意外でした・・!言語はどのように勉強されていたのでしょうか?
ブ:
中国語は、上海では就業前に大学の語学コースに通っていました。北京勤務時代は、始業前に週2でレッスンを受けていましたね。
ベトナムでは、フィリピン人が講師の英会話オンラインスクールで勉強していました。
私:働きながらも、語学の勉強を続けられていたのですね。キャリア的に、また家族的にも日本に帰るか海外生活を続けるか悩む人も多いと思います。ブラキオさんが日本に帰られることを決めたのはどのような理由があるのでしょうか?
ブ:私自身の場合も、家族の状況の変化や勤務先企業の体制の変化、そして自身の取り組みたい課題や価値観が変わってきたことから、決断しました。
日本へ帰国後、次なるステップへ
私:取り組みたい課題というのは、前述していただいた海外就職・海外生活のコンサルティング事業でしょうか?
ブ:はい、そうです。やりたい事業のアイディアがあり、今準備を始めています。
私:「たびのーと」の読者も海外生活・海外で働くことに興味を持っている人が多いので詳しく教えていただきたいです!
ブ:サービスとしては、「海外にすでに住んでいる人」や「海外で働くことに興味がある人」に対するキャリア・コンサルティングを考えています。資格を持ったキャリアカウンセラーによる、第三者的な視点でのキャリア形成サポートを考えています。ゆくゆくは大学など教育機関と協業できればいいなと考えています。
その他にも、適性検査といったアセスメントの開発や、「海外生活者向け・マイナンバー関連事項対応マニュアル」のような電子書籍の発行も予定しています。
私:マニュアル、欲しいです! デザイナーとして働かれてきたブラキオさんですが、コンサルティング事業を始めるにあたってはやはりご自身の経験が大きいのでしょうか?
ブ:そうですね。自分も海外で働いているとき、キャリア形成に悩んでいたので。周りでも同じような人が多かったですし、海外経験をうまく活かせていない人も多いと思います。キャリア形成のために参考になる情報や支援がまだまだ少ないと感じています。
海外で働きたい、生活したいという日本人が少なくないにもかかわらず、です。この状況を変えていきたいと思ったのが、きっかけでした。
私:グラフィックデザイナーという専門職から、全く違う分野で起業を考えることになったということですが、海外で働いた経験も生かされているのでしょうか?
ブ:はい。30歳前後から管理職経験や会社経営への参画は、日本人人材の少ない海外だからこそ経験できたと思っています。また、海外で目にした起業する日本人の姿や、中国人やベトナム人の「とりあえずやってみる精神」みたいなものも刺激になりました。
私:なるほど。海外で働いたからこそ、早い時期に管理職や経営参画という経験をできたのは貴重ですね。最後に、これから海外で働きたい人へアドバイスをお願いできますでしょうか?
ブ: 海外で働いたことは、ぼく自身にとってとても有意義な経験でした。海外就職がキャリアを考える上でもっと一般的な選択肢になったらいいなと思っています。
ただ、「海外で働きたい人」と一言で言っても、100人いれば100通りの考え方や状況の違いがあるでしょうから、一概にアドバイスはできません。
そういう意味でも、「海外で働きたい人」一人一人の考え方や状況に合わせた、自己決定につながるような支援や情報を、ブログや事業を通じて提供していきたいなと思っています。
私:ブラキオさん、今回はありがとうございました!
インタビューを終えて
ブラキオさんのお話からは、その都度正直な気持ちで前に進んでいっているからこそ、後悔なく新しいことにチャレンジされているというのが伝わってきました。
海外就職だけではなく、今のキャリアや環境を変えたいと思ったのであれば、まず自分の正直な気持ちに耳を傾けてみるのが一番なのかもしれません。
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Photo Credit: ブラキオさんの奥様グッチさんに写真をご提供いただきました。グッチさんはベトナムのグルメ情報ブログ「Vietnam Local Foods」を運営されています!
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