今回は、大学卒業後、新卒で青年海外協力隊員として、村落開発普及員(現:コミュニティ開発)として2年活動した後、現地パートナーと起業した方へインタビューをお送りいたします。
実は、私の従兄弟です!
大学時代から国際協力機関で働く事を夢見て活動し、今やモザンビークで事業主として新しいステップを踏み出しています。そんな尊敬する従兄弟、ともちゃん(山家友明さん)に、お話を伺いました。
どうして国際協力機関で働くことから、現地での起業へ至ったのか?海外でビジネスするのに必要なことは?
気になりますよね。それでは、インタビューをどうぞ。
新卒で海外青年協力隊になった理由とは
私:本日は、お時間ありがとうございます。ブログの読者さんには、海外で働きたい人が多いので、経験談やお考えを聞かせていただければ幸いです。
まずは、どうして新卒で青年海外協力隊に応募しようと思われたのですか?
ともちゃん(以下、と):大学生時代は国際協力の専門家を目指していて、そのために何が必要か調べてみたんだ。すると、国際協力に関する情報を発信している山本敏晴さんという方の著作に、国際協力の専門家をになるための必要最低条件が書いてあった。
それが、
①英語力(できればフランス語などの国連公用語をもう一つ)。
②大学院修士。
③二年間の社会人経験(できれば、正社員として、海外での経験)。
この3点。青年海外協力隊という進路は、この最低条件を満たすステップとしてマッチしていたんだ。
私:なるほど。国際協力の道に進むために、青年海外協力隊へ応募されたのですね。
倍率が高いと聞きますが、合格するための秘訣は何かありますか?
と:健康であること、国際協力に対する自分の考えをしっかり持っていることの2点が重要だと思うよ。新卒の場合は、専門性のある人が少ないから、考えをしっかり突き詰めておくことが大事だと思う。
起業へと導いた海外青年協力隊での経験

私:モザンビークへ村落開発普及員として赴任中はどのような活動をされていたのですか。
と:2010年6月から2012年6月まで、モザンビークのイニャンバネ州ビランクーロ郡の経済活動事務所に派遣されていて、そこで色々な活動をしたよ。
主に、以下の4つのことを行ったんだ。
1)大量生産が可能な陶器型のカマドの普及。
2)ネリカ米の普及。これは、アジア種とアフリカ種の混合種なんだけど、モザンビークには種籾がほとんどないので、同期隊員と共に種籾取得と普及活動を行った。
3)レモングラスの加工販売。モザンビークでは、レモングラスというハーブが伝統茶としてよく飲まれており、これを現地農家と一緒に加工して販売してみたんだ。マプト(モザンビークの首都)の展示会に参加したこともある。僕が帰国したあとだけど、その後生産を増加させ、ホテルやスーパーへの卸売販売も始めたらしい。
4)モリンガの植林。モザンビーク農業省が普及を促している、モリンガという木の普及活動を現地の同僚とやったこともある。その時は1500苗を作成して、地元農家へ配布したよ。
私:色々な活動をされていたんですね。モリンガの栽培は、今行われている事業ですよね。
と:うん。今は、モリンガ事業とタクシー業の二つの事業を行っているんだ。モリンガ事業はメインの活動で、簡単に説明すると、モザンビークにモリンガの農地を持っており、現地パートナーと栽培しているんだ。併設で加工施設を現在建設中で、今後モリンガを商品化して販売する予定なんだ。

私:モリンガってどのような効用があるのですか?
と:モリンガは、「ミラクルツリー(奇跡の木)」と言われるほど、豊富な栄養素が含まれてるんだ。とくに、ビタミンやミネラル、アミノ酸などがバランス良く含まれており、アンチエイジング効果、美容効果、デトックス効果ができると言われてる。
私:本当にミラクルな植物ですね。女性には嬉しい・・!どのような摂取の仕方があるのでしょうか?
と:モリンガの葉をタブレット状にしたものと、パウダー状にしたものがある。タブレットは、そのまま飲んでもらえばいいし、パウダー状のものは料理やお菓子に入れて使えるようになってるよ。あと、モリンガの葉と茎を使用したモリンガ茶も売っているね。
私:葉だけじゃなく、茎まで利用できるんですね。
もともと、国際協力機関で専門家として働きたいと考えられていたと思うのですが、海外青年協力隊活動後に起業という選択を取られたのはなぜですか?
と:理由としては2つある。
1)赴任地で出会った現地人に良い人が多く、彼らと何か事業をやりたいと思ったこと
2)商売して生計を立てている現地人に、尊敬の念を抱いたこと
今は、モザンビーク第2の経済都市ナンプラに住んでいるんだけど、協力隊時代は田舎町に住んでいて、町に住んでいる人と仲良くなりやすかったんだよね。
そこで暮らしているうちに、「この環境で気の合った現地人と何か事業できたら面白そうだな」と思ったんだ。
私:そうなんですか〜。モザンビークでは、自分で商売をしている人が多いんですか?
と:うん。民間企業は少ないし、政府はお金がないから職員をたくさん雇えないからね。みんな生きるために商売しているよ。
例えば、炭売りの人。彼らは村落地帯から自転車で数十キロかけて都市部まで運んでくるからね。
私:え、自転車で、ですか?
と:自転車が一番手の届きやすい移動手段だからね。自転車だと、ガゾリン代といったコストもかからないし。
私:タフですね・・・。自分で仕事を作り出し、生活費を稼ごうとする心意気、見習いたいです。
モザンビークで起業するまでの道のり
私:海外で起業するって、日本での事業立ちあげと違って、色々と苦労されることが多いと思います。特に、信頼できる現地パートナーを見つけることが肝心だと聞いた事があります。どのようにして現地パートナーを見つけられたんですか?
と:現地パートナーとは、協力隊任期終了後、モザンビークで開発コンサルタントとして働いていたときに出会ったよ。
農業系組織への支援先を探しているときに、たまたま今の現地パートナーの活動を視察に行く機会があって、そこで彼女がモリンガ事業も手がけていることを知った。自分もモリンガ事業をやろうと考えていたところだったから、その場で「一緒にやりませんか?」と提案してみたんだ。
その後話し合いを進めていく中で、信頼してもらい、一緒に試験栽培から始めることになった。
私:やりたい事業が合致していることと、お互いに信頼しあえる関係を構築することが大事なんですね。
日々、どんな仕事をされているんですか?
と:日によって違うけど、モリンガの農地を見に行ったり、販売用にモリンガの種の選別をしたり、タクシー車両の修理をしたりしてる。
最近は、加工施設の建設が始まったので、関連手続きの書類作成作業が多いかな。
私:海外での書類作業は大変そう・・。今は、何名体制で事業を行われているんですか。
現地パートナーと、現地スタッフ4名(内、農地スタッフ3名)、タクシー運転手2名を雇ってるよ。
私:海外で雇用を生み出すって大変な事なので、本当に凄いと思います。最後に、海外で起業したい、働きたい人へのアドバイスをいただけますか?
と:とりあえず、やってみて感触をつかんでみること、かな。致命傷を負わない限り、日本に逃げ帰れると思うので。
私:そうですよね。いざとなったら、日本に帰っても良いんですよね。
と:うん。自分も、いざとなったら、地元に戻って事業をするのもいいな、と思っているよ。そう思いながら、今はできることを頑張っていきます。
私:発展途上国で事業を作るって相当大変な作業や困難もたくさんあると思いますが、それでも、やってみることが大事だな、と思いました。生の体験を聞かせていただき、ありがとうございました。
終わりに
「この環境で気の合った現地人と何か事業できたら面白そう」とモザンビークでの起業に踏み切ったともちゃん。モザンビークでのビザ申請の関係で、日本一時帰国中東京で再会したときにともちゃんがつぶやいた一言が思い出されます。
「東京の雲は灰色だよ。早くモザンビークに戻りたいなあ。」
この一言が、今も私の頭の中に残っています。ともちゃんはモザンビークという国、人が大好きなんだ、と。
「何を」したいかって、自分の中だけで完結します。でも、「どこ」で「誰と」するかって、周りの環境が大きく左右します。それだけに、自分が納得する選択肢を選びたいものです。
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ともちゃんのブログ「やんぶろ」
青年海外協力隊時代からの経験を綴られています。海外で働く事に興味がある方、要チェックです。
モザンビークのモリンガの種はこちらで購入できます。
1月28日朝日放送「世界 の 村 で 発 見! こ ん な と こ ろ に 日本人 2016 年 1 月 29 日 160129″>世界 の 村 で 発 見! こ ん な と こ ろ に 日本」でともちゃんが紹介されました。こちらで動画見れます。
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協力隊OG says
今、テレビを見ています。独身時代の私の夢もアフリカで植林とかに関わる仕事をすることでした。すごくいい仕事をしていると思います。応援しています。
Ayumi Saito says
従兄弟に、コメントいただいた旨伝えましたら、喜んでおり、「頑張ります!」と言っていました。
コメントありがとうございます。^^