おいしい料理、おいしいレストランの裏側に迫るおいしいシリーズ。今回は、スロバキア・ブラチスラバにあるレストラン「U Kubistu 」をご紹介します。
U Kubistuは、１９８０年代に建てられたキュビズム建築が取り入れられた建物を利用し、嬉しい驚きをもたらしてくれる創作料理を提供しています。前の世代の良いものを新しい時代にあってほしい形に見事にうまく融合させたレストランです。その魅力に迫ってきました。それでは、どうぞ。
異なるバックグランドを持つ３人が始めたU Kubistu
U Kubistu には、３人のオーナーがいます。チーフシェフのPeterと、建設会社を運営するVilliamと、広告会社に勤務するOndroです。
彼らは、ブラチスラバ郊外にある禅道場で出会いました。当時ブラチスラバのレストランで働いていたPeterが、「自分の好きなように料理を作れるレストランを作りたい」と言ったことが発端となり、３人でレストランを始めることに。
全くバックグランドが違う３人ですが、それぞれの専門性をレストラン経営に上手く活かしています。建設関係の経験が豊富がVilliamが店内の内装を担当し、広告会社で働くOndroがレストランの広報やマーケティングを担当。もちろん、Peterはシェフとしてレストランの味を支えています。
キュビズム建築を活かした店内
ピカソやブラックで有名なキュビズム芸術。１９００年代初頭に、チェコ共和国を中心にキュビズム芸術は建築にも応用され始めました。長方形や四角形ではなく、三角形や多角形を用いた立体的なデザインが特徴です。
チェコでは、数多くのキュビズム建築が残っていますが、スロバキアにもキュビズム建築があります。U Kubistu は、キュビズム建築様式で１９８０年代に建てられた建物の１階にあります。
「歴史を未来につなげていきたい」という想いのもと、キュビズム建築を最大限に活かした空間を作り出しています。こちらの建物を手掛けた建築家の家族から、設計図のコピーを手に入れ、それを店内の内装に転載をしています。また、情報を元に、キュビズム建築についてのパンフレットも作成しました。（スロバキア語のみですが・・残念。）
「歴史を未来につなげていきたい」という想いのもと、キュビズム建築を最大限に活かした空間を作り出しています。
当たり前のことを当たり前に
U Kubistuでは、席に着くとまずスタッフさんがメニューと共にお水を持ってきてくれます。私は、正直最初戸惑いました。「何も言わなくても、水が運ばれてきた！何で？！」と。
ヨーロッパでは、レストランで席についても、水を注文しなければ、水が運ばれてくることはありません。水が他の飲み物と同じくらいの価格であることもしばしばあります。日本では、水とお茶が無料で運ばれてきますが、ヨーロッパではほとんどありえないことなんです。
共同経営者のOndroに、水のサービスについて聞いてみると、「僕たちは、当たり前のことは当たり前に行いたいんだ。お客さんはお客さんなんだから、水を出すのは普通でしょう？」とのことでした。
たがが水１杯。されど水１杯。その水１杯だけでも、お店側から歓迎されている気持ちになります。
未来へと続く料理
U Kubistu の料理のこだわりは、「Beauty&Surprise (美しさと驚きを）」。どの料理も、食べるのがもったいないくらいの美しさを持ち合わせています。
Baked pastries stuffed with pumpkin and seeds in a barley cosomme
アジア風の料理。実は、このスープは、麦茶と同様煎った大麦がベースとなっています。香ばしい香りが、ふわりと広がります。
かぼちゃ入りのワンタンとの面白い組み合わせでした。
Rabbit in wine with egg barley,but not as you know it
こちらは、人気料理のひとつ。うさぎの肉を赤ワインで煮込んだ料理です。スロバキア地方でよく食べられる伝統的な料理なのだそうです。
Coconut lemonado
美しいのは、料理だけではありません！美しいドリンクも豊富に取り揃えられています。特におすすめなのが、レモネード。ブラチスラバでは近年レモネードの人気が高まっており、数年前から毎年レモネードコンテストが開かれているのだそうです。
写真のココナッツレモネードは、昨年のレモネードコンテストで見事１位を獲得した味です。ココナッツの甘みと、レモンの酸味が絶妙でした。
では、料理の「驚き」とは一体何なのでしょう？私が一番驚いたのは、こちらの料理です。
Hot Cubist Vegetable Food, so-called HCVF
根菜を中心としたホットサラダです。実は、白っぽく見えるものも人参なのだそうです。人参って、オレンジ色だけじゃないんですね。チーフシェフのPeterは、見た目美しく、味は美味しく、そして人に驚きをもたらす料理を心を込めて作っています。メニューは、年４回に変わるそうです。皆さんが訪れる時には、また違う驚きが待っているかもしれませんね！
歴史と未来をつなげるレストランは、お客さんに喜びと楽しみを提供する場所でした。これから、どんな驚きをもたらしてくれるのか、楽しみですね。ブラチスラバに訪れた際には、ぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか。
[Information]
U Kubistu
住所：Grösslingova 2524/26、811 09 Bratislava
電話番号：0948 077 845
営業時間：Monday-Friday: 8:00-22:00, Saturday-Sunday: 10:00-22:00
*Thank you to U Kubistu for your invitation. The opinions expressed here are my own.
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